ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

JR西日本

Report No.69 煤煙の記憶

福知山線の宝塚~福知山間、山陰本線の福知山~城崎温泉間が電化され今年で30年になる。両区間とも現在では電車特急が闊歩する路線となっているが、電化前までは気動車優等列車や客車列車の楽園であった。キハ58やキハ181といった気動車が往来する中、客車列…

Report No.67 面影

2000年以降、青い機関車と青い客車、「ブルートレイン」と呼ばれ親しまれた寝台列車たちの時代は高速道路網の発達や新幹線網の延伸、航空券の低価格化などによって続々と終焉を迎えた。京都~長崎を結んだ寝台特急「あかつき」もその一つであった。「あかつ…

Report No.65 エンブレム

日本初の特急用電車として開発された151系は欧州のTrans Europe Express(TEE)を意識した外観と塗装でそれまでの国鉄に新風を吹き込んだ。この、151系の先頭部には、それまでの列車になかった新たな”シンボル”が輝いていた。公募によって募集・決定された特急…

Report No.55 我は海の子

我は海の子白浪の さわぐいそべの松原に 煙たなびくとまやこそ 我がなつかしき住家なれ。 童謡、「われは海の子」の一番の歌詞である。この「われは海の子」で歌われている海がどこかというのはいまだに諸説あるようだが、松原と海、漁村と言った日本の海岸…

Report No.53 瀬戸内イエロー

機械は色々な材料を用いて作られるが、その中でも最も一般的なものといえば鉄鋼材料だろう。鉄鋼材料は安価でかつ強度のある材料で、そしてその強度やその他特性を含有成分や製鉄方法、後処理などによって変化させやすいため様々な機械に利用される。鉄道も…

Report No.51 赤ひげの山賊

日本の鉄道史は山との闘いであったと言っても過言ではないだろう。環太平洋造山帯に位置する我が国は、国土のおよそ2/3が山地であり、残り1/3の平地に数々の都市が点在している。つまり、これらを鉄道で結ぶことは山をいかにして攻略するかということになる…

Report No.49 藍の翼を纏いしもの

583系といえばかつては全国を昼夜問わず駆け巡っていたわけだが、向日町に所属していた車両たちが引退し、現在は秋田車両センター所属のN1+N2編成6両のみとなった。紅葉真っただ中の一昨年秋、11月27~28日にかけて秋田から京都への観光団体列車として秋田の…

Report No.48 遠回りするレール

ロングレール輸送には主にチキ5500形貨車が使用される。チキ5500はレール緊締車、中間車、レール取り卸し用のスロープを備えるエプロン車と呼ばれる2種類があり、5~12両程度の編成単位で運用される。JR西日本に所属するものは、エプロン装置付きの5500番台…

Report No.47 驀進

動力近代化計画、通称無煙化により蒸気機関車は全国の国鉄路線定期列車から姿を消した。無煙化末期には伯備線や函館本線などに少なくなった蒸気を一目見ようと多くのファンが訪れるなどSLブームと呼ばれるものが発生した。更に、これまで鉄路を支えてきた…

Report No.46 山あり谷あり

山陰本線というと、かつては鈍足な機関車に牽かれた貨客車と気動車が闊歩していた路線であったが、電化・高速化事業によって一部区間で線路の付け替え、電化が行われ、今や京都口では電車が5~10分間隔で往来する路線となった。高速化事業で線路付け替えとな…

Report No.45 冬支度

本州の日本海側というと、冬には豪雪となる地方が多いことで有名である。豪雪地帯対策特別措置法によって、全域が豪雪地帯に設定されている道・県を見ると、北海道、青森、岩手、秋田、山形、新潟、富山、石川、福井、鳥取となっており、岩手県を除きすべて…

Report No.44 新幹線夜を往く

「新幹線」という言葉を聞いたときに、いまだ多くの人がイメージするのは、初代新幹線車両0系であろう。団子鼻や文字通り弾丸列車の愛称で長きに渡り親しまれ、戦後日本を象徴する顔であったと言っても過言ではないだろう。 GHQによる陸・海軍の解体、航空・…

Report No.42 地下鉄に乗って

103系というと、一時は3500両にも迫る両数を抱える大所帯でありまさしく国鉄通勤型の顔であった。そして、両数もさることながら、形態もまた多数あった。そのうちの一つがいわゆる”地下鉄対応車”である。地下鉄対応車は、1000番台、1200番台、1500番台が該当…

Report No.38 幻影

いまや日本から定期寝台列車は全廃されてしまい、”高級ツアー”として”ななつ星”や”カシオペア”などが臨時運行される程度になってしまった。かつては東京や大阪のような大都市から日本各地へ寝台列車が発着していた。中でも日本の大動脈、東海道・山陽本線系…

Report No.37 合いの子

鉄道システムというのは線路や信号設備、架線やトンネルなど様々な要素が複合した巨大なシステムであり、その一つでも欠ければ安全運行にかかわる。これら鉄道システムを検測し、システムが正常値になっているかどうかを確認するために裏方の車両たち、検測…

Report No.35 蒼い夢、永遠に

前回天理臨の話をしたので今回も引き続き天理臨について触れていきたい。 青森~天理で運転されていた24系使用の天理臨が、京都駅でEF81とDD51を付け替えるのは前回お話しした通りである。北陸方面への列車は通常0番線から発車するが、天理臨は往復ともに7番…

Report No.34 青と赤

天理教をご存知だろうか。天理教とは江戸時代に生まれた新興宗教であり、宗教人口はおよそ100万人、奈良県天理市にその総本山を構える。この天理教、年に数回の祭事があり、この祭事に合わせて全国の天理教徒の方々が多く天理市へはせ参じるのであるが、これ…

Report No.31 さよならの宴

2011年の287系の導入に合わせて山陰・福知山線系統の特急列車は大きく再編された。 それまでは行き先および経由線区の違いから北近畿、文殊、まいづる、きのさき、はしだて、たんばの7つの電車特急が存在した。2011年3月ダイヤ改正では、この7つがこうのとり…

Report No.29 蒼い翼

当時の国鉄としては斬新なクリーム地に青の帯をまとい、世界初の本格的寝台電車として寝台特急『月光』で華々しくデビューし、昼夜を問わず日本中を縦横無尽に駆け巡った月光型、583系も残るは仙台所属のN1+N2編成6両のみとなった。 583系開発当時、国鉄では…

Report No.27 夕焼けの国鉄色

福知山電車区に所属していた381系は、末期、閑散期4両、繁盛期6両という設定で運転されていた。基本編成は6両だが、中間のモハユニット2両を抜いて4両で運転するという形である。287系や、かつて在籍した183系では4両および3両編成が存在し、まいづる・はし…

Report No.26 日本海縦貫線号

1964年の東海道新幹線開業を皮切りに、主要幹線網の新幹線化が始まった。今や、新幹線のみで東京から函館、新潟、金沢、鹿児島中央へ行ける時代となった。しかしその裏では、速達性と利便性を引き換えに歴史の中へ消えていったものたちもあった。 2015年3月1…

Report No.24 シティーライナー

最後の特別なトワイライトエクスプレスが下関を出発する日、広島でもちょっとしたイベントがあった。広島支社では3月26日ダイヤ改正から土休日岩国~広島間で快速「シティーライナー」が運転開始されることになった。これを告知する目的で、ダイヤ改正前週の…

Report No.20 米原工臨

米原工臨とは、米原駅で折り返しを行う東海道線の工臨の通称である。輸送量の多い東海道本線とあってレールの磨耗が早いため、頻繁にロングレールの輸送が行われる。ロングレールは京都総合運転所に併設された向日町レールセンターで製造され、ロングレール…

Report No.18 山陰トワイライトエクスプレス <補>

山陰本線へ特別なトワイライトエクスプレスを撮影に行ったことは以前も投稿したが、すこし番外編ではなく捕捉としてのことを書きたいと思う。 寝台列車といえば、牽引機関車に流れ星の運用札が刺される。団体臨時といえど、特別なトワイライトエクスプレスで…

Report No.17 国鉄特急色の終焉

山陰本線京都口は電化されて以来、キハ181のほかに元485系の183系や381系といったいわゆる国鉄特急色(183系の場合準国鉄特急色?)をまとった車両たちが特急として活躍してきた線区であった。去る2015年に、289系の導入に伴って福知山支社から381系が引退す…

Report No.16 金沢工臨

幹線路線となると、乗り心地の向上や騒音の軽減などの目的でロングレールが採用されている。しかし、レール交換のたび、毎度毎度現場でロングレールを一から作っていては時間も人件費もかかるため、あらかじめ工場などで1本150〜200m程度の長さまで溶接した…

Report No.15 DD54陸送

かつての交通博物館が大宮に移り鉄道博物館となったことは記憶に新しいが、2012年に老朽化および手狭になった弁天町の交通科学博物館が梅小路に移設されることが決まった。 これに伴い、弁天町に展示されていた車両が随時梅小路へ陸送されることになり、その…

Report No.14 山陰トワイライトエクスプレス <番外編>

山陰ルートの特別なトワイライトエクスプレスは下りは瀬戸で、上りは美袋でDD51とEF65-1000の付け替えを行う。ここで、DD51は後藤所属であるので、瀬戸までの送り込みと美袋からの返却回送が必要になる。美袋で客車を切り離したあと、DD51のペアはいったん豪…

Report No.13 伊賀上野工臨

伊賀上野工臨はその名の通り、関西本線の伊賀上野駅までの工臨列車である。 夜、向日町を出発し伊賀上野駅まで行き、レールを取卸して翌朝の朝向日町へ帰ってくる。なお、奈良線を経由して関西本線へ行き折り返してくるため、運用上機関車単機牽引では機回し…

Report No.11 紀勢本線トワイライトエクスプレス<続>

以前も紀勢トワイライトについては触れたが、今回は前回分で触れることができなかった9月、10月分ついていくつかえりすぐって書き記したい。 和歌山DCキャンペーンのトワイライトエクスプレス初回運転の日、快晴と聞きつけ当時免許を取ったばかりの友人が車…