ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.164 バイエルンの煙を追って

 日本人にとって馴染みのあるドイツの地域はどこだろうか。ドイツ連邦には16の州があるが、そのすべてを知っている日本人はそう多くないだろう。その16の州のうち、おそらく本邦で最も知名度があるといってもそう過言ではないのはバイエルン州ではないだろうか。サッカー好きな人であればバイエルン・ミュンヘン、そして少なくない人がアルトバイエルンソーセージで聞いたことがあるだろう。車好き・ミリタリー好きであれば、BMWの正式名称、Bayerische Motoren Werke(バイエルン発動機製造株式会社)を思い出すだろうか。

 バイエルン州はドイツ南東部位置するドイツ最大の州である。かつてはバイエルン大公国やバイエルン王国と名乗っていた、ドイツの中でも独自の文化が根付いた地域である。このバイエルンに、私有鉄道博物館バイエルン鉄道博物館(Bayerisches Eisenbahnmuseum)」がある。私有博物館でありながら、100両以上の車両を所有し、複数の蒸気機関車を動態保存している。動態保存と言っても、ここでいう動態保存とは博物館構内を往復するだけのようなものではない。きちんとドイツ中の本線を走れるように整備・維持されているのである。

 2019年末、知り合いから2020年2月にバイエルン鉄道博物館主催で01形蒸気機関車牽引の臨時列車がアルゴイ線で走るから撮りに行かないか、とのお誘いを受けた。アルゴイ線については当ブログでも何度か紹介しているが、バイエルンミュンヘン方面から南へボーデン湖抜ける風光明媚な路線である。2月であれば、南ドイツといえどもまだまだ冬。運が良ければ雪の中を走る01形を撮ることができる。そうとなれば航空券を押さえるのみである。話をいただいた数日後にはターキッシュエアラインズのミュンヘン行航空券を押さえたのであった。偶然にももう一人の友人が同時期に渡欧するとのことであったので、ならば一緒に撮影に来ないか、と誘い込み無事3人で撮影に赴くことになった。

 2月21日朝にドイツ・ミュンヘン入りした私は、先に渡欧していた友人と合流し一日事前ロケハンとアルゴイ迂回となっていたスイス方面ユーロシティーを撮った。その後、夕方にバイエルン鉄道博物館へと赴き、もう一人の発案者の友人と合流。バイエルン鉄道博物館にて翌日の準備作業を少しばかり撮影させていただいたのであった。ここでいささか残念な知らせが。本来牽引予定であった01.066号機が直近の検査で不具合が見つかり、代替として01.180号機が抜擢されるとの報。066号機は貴重な原形に近い01であっただけでに残念な知らせではあったが、こればかりはどうしようもなかった。(ここでは詳細を語ることができないが、066号機の不具合はかなりの重症で、数日で治るような代物ではなかった。)

 そして待ちに待った運転日2月22日がやってきた。この日は前日より少々雲が増えたものの、晴れが続いていた。アウクスブルクの宿を早朝に出立し、ブーフロー(Buchloe)手前で既に一発撮ったのち、Aitrangの集落近くの貯水池の撮影地へと赴いた。

Br01.180 Bayerisches Eisenbahnmuseum Sonderzug

 ミュンヘン方面行ユーロシティーなどを撮影していると、すぐに予定通過時刻はやってきた。私の友人のみならずその他の知り合い日本人鉄数人とペンタックス64を持った気合の入った現地鉄が参戦するなど、なかなかに盛況となる中、01.180号機に引き連れられて臨時列車はやってきた。力強く大地を蹴る01の真っ赤な動輪が勇ましい。この貯水池に住み着いている白鳥がちょうどよいところにフレームインしてくれたのは運がよかったからだったのだろうか。