ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.167 最後の大一番

2021年3月ダイヤ改正にて、JR貨物愛知機関区所属のDD51の運用が終了した。かつては紀勢東線新宮方面や高山本線の貨物列車を担当するなど幅広い活躍を見せた愛知機関区所属機であったが、最末期は四日市~稲沢間のコンテナ列車および石油輸送列車あわせて数往…

Report No.166 秘境列車

登山鉄道というと、箱根登山鉄道やはたまたスイスのユングフラウ鉄道を思い浮かべる方も多いだろう。実は、登山鉄道という名前に明確な定義は存在していないのだが、おおむね、特殊な装備や構造をもって通常の鉄道車両では克服困難な路線を運行している路線…

Report No.165 戻り燕

ある研究によれば、渡り鳥であるツバメのつがいのうち、オス・メスどちらかが翌年また同じ巣に戻ってくる割合はおおよそ2割弱であるという。こう聞くと思いのほか少ない割合だと思う人も多いかもしれない。 さてさて、「つばめ」と言えば、九州新幹線の博多…

Report No.164 バイエルンの煙を追って

日本人にとって馴染みのあるドイツの地域はどこだろうか。ドイツ連邦には16の州があるが、そのすべてを知っている日本人はそう多くないだろう。その16の州のうち、おそらく本邦で最も知名度があるといってもそう過言ではないのはバイエルン州ではないだろう…

Report No.163 東国の新人

欧州において、鉄道車両の多くは顧客たる鉄道会社が一から設計してオーダーメイドするものではなく、ありものの設計を微調整して導入するというセミオーダーメイドが主流となっている。これはひとえに、電化方式や信号方式さえ違えど、軌間がおおむね1435mm…

Report No.162 峡谷

ジュリア・アルプス山脈がそびえるスロベニア北西部は、切り立った山々と深い森、そして囁く清流が織りなす絵本のような景色が広がっている。その一つがヴィントガル(Vintgar)峡谷である。1891年に発見されたこの峡谷は、ジュリア・アルプスから流れるラドウ…

Report No.161 三国特急

欧州において国際列車は珍しい存在ではない。ひとたびドイツやスイスの大規模な駅へ行けば、一時間のうちに一本は少なくとも国際列車を見ることができるだろう。近年では、近距離の移動に対して飛行機を使うことによる環境への負荷を減らそうという、いわゆ…

Report No.160 マルチプレイヤー

本邦でオール二階建て車両というとE1系新幹線やE4系新幹線、あとは先頭車に目をつむれば215系程度であるが、諸外国に目を向けるとオール二階建て車両というのは存外メジャーな車両カテゴリーである。通勤電車というジャンルの中で見ても、諸外国、特に欧米で…

Report No.159 共産主義の大地

1917年11月7日、世界は初めて社会主義国家の成立を見た。のちにソビエト連邦となるロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の誕生であった。第二次大戦下のソビエト連邦では、マルクス・レーニン主義の大義名分の名のもとに、集団農業化や重工業を主とした計画経…

Report No.158 ロケット

日本が世界に誇る新幹線。団子鼻で親しまれた0系もさることながら、その次に有名と言っても過言ではないのがJR西日本の500系新幹線だろう。新幹線営業車両として初めて時速300kmでの営業運転を行い、東京~博多間を4時間49分で結んだその速達性は、後継車両…

Report No.157 Legend

欧州では国同士で電化方式や信号設備の違いがあることなどから、国際列車にはまだ数多くの客車列車が走っている。だが、それも最近は規格化された各国対応の電車・気動車が開発されつつあり、徐々に客車列車は数を減らしている。さらに言えば、各国内のロー…

Report No.156 リゾート急行

終端駅または途中駅で他線区への接続がない路線のことをしばしば盲腸線と呼ぶことがあるが、こういった路線の多くは地域輸送を主とするローカル線であり、優等列車や長距離列車が運転されているのは稀である。盲腸線でありながらそういった列車が運転されて…

Report No.155 Baureihe 01

ドイツの蒸気機関車を語るうえで外せないのが01形だろう。赤く塗られた直径2000mmという大型の動輪と威圧感のある大型のボイラー、英国の蒸気機関車のような芸術品のような美しさと対照的な工業製品としての工芸品のような美しさがこの機関車が長きにわたり…

Report No.154 バイエルンの夏

欧州の夏は短い。日本のように9月を過ぎても暑いというようなことはあまりなく、9月も半ばになれば朝夕は長袖にジャンパーが必要になる。それでも、まだ9月は日中になればぽかぽかと温かく、野山の緑は夏最後の瑞々しい輝きを見せる。 2019年9月の訪欧では、…

Report No.153 弾丸機関車

日本が新幹線を開業させたころ、ヨーロッパではまだまだ機関車牽引の旅客列車が全盛であった。ドイツでは積極的な線路改良や車両開発を行い、200km/hでの特急列車運転を計画した。その中で生まれたのが103型電気機関車である。流線形の流麗なフォルムとクリ…

Report No.152 漢江

1974年、韓国・ソウルで初めての地下鉄、1号線が開業した。1号線は、日本からのODA(政府開発援助)および技術支援により開業した路線である。1号線の開業に合わせては、日本から186両の電車が輸出された。これが、韓国鉄道庁1000系およびソウル地下鉄公社1000…

Report No.151 パノラマ急行

言わずと知れた峠路線の聖地、スイス国鉄Gotthard線は、3000~4000m級の山々が連なるアルプス山脈の谷間を縫うように走り、スイス/Zürich方面からイタリア/Milano方面へ抜ける路線である。2016年にGotthard Base Tunnel(ゴッタルド基底トンネル)が開通したこ…

Report No.150 五山送り火

8月の京都で一大イベントといえば、五山送り火である。五山送り火の中で最も標高が高い位置にあるのが、如意ケ嶽にともされる大文字(右大文字)だ。それゆえ、京都市内の広い範囲で見ることができる。更にいえば、京都の市街地中心部が碁盤の目になっている…

Report No.149 第一只見

日本の豪雪地帯はどこか?と聞かれたら、「それは勿論北海道だろう」と答える人も少なからずいることだろう。だが実際には、年間平均降雪量・最深積雪量ともに上位にくるのは北海道以外の地域のほうが多いのだ。どちらかといえば、北海道よりも長野や新潟、…

Report No.148 キハ52

千葉のいすみ鉄道にJR西日本からキハ52-125が譲渡されて早10年になる。譲渡後すぐに赤/クリームツートンの一般色に塗り替わったが、2014年に首都圏色へと塗り替わり、昨年2019年までながらく首都圏色で活躍していた。それが昨年、再び一般色に戻される運びと…

Report No.147 原色三昧

普通の人にとっては、原色といえば赤、青、緑のような光の三原色などをイメージするだろう。だが、鉄道ファンにとって「原色」というワードは少しばかり特別な意味を持つ。鉄道ファンにとって原色とは、ある車両が登場したその時の塗装を意味する。 鉄道車両…

Report No.146 赤い星の巨人

蒸気機関車の世界最速記録といえば、流麗な流線型のボディが美しいイギリスLNERのA4形マラード号が保持する202.8km/hである。この記録は第二次世界大戦直前の1938年7月3日に達成された記録だ。この約2年前の1936年5月11日にはドイツ国鉄05形002号機が200.4km…

Report No.145 海の谷

最後の国鉄特急色485系A1+A2編成が現役から消えて既に3年以上がたつというと、字面そのものでは、そう遠くない昔のように思えるのが不思議だ。A1+A2編成が引退する前年は新潟のT18編成の引退があった。T18編成といえば最後に残ったカニ目ヘッドライトの1500…

Report No.144 ゴーグル

“ゴーグル”の愛称で親しまれている機関車が中欧いる。こういうと前面窓のまわりが眼鏡のフレームのように塗られているような車両を想像する人も多いかもしれない。だが、この“ゴーグル”機関車は塗装ではなく、前面窓自体が車体から少し前に張り出した形にな…

Report No.143 ドナウの真珠

オリエント急行といえば、『オリエント急行の殺人』や『007 ロシアより愛をこめて』で登場した、フランス・カレーとトルコ・イスタンブルを結ぶ便が一番有名ではないだろうか。オリエント急行はいくつもの列車の総称であり、「オリエント急行」、「バルト・…

Report No.142 群青と深緑と

山陰本線迂回貨物からすでに1年以上が経つ。日本の東西の大動脈の一翼たる山陽本線が100日にもわたって不通であったのは、阪神淡路大震災の被災による不通期間74日を上回るものだ。そしてこの日数こそが、いかに深刻な被害を、かの豪雨が鉄道にもたらしたか…

Report No.141 古城の街

ドイツ東部、ドレスデンの南にKönigstein(ケーニヒシュタイン)という町がある。ドイツ語のKönigは王、Steinは石を意味し、直訳すれば王の石といったところの名前になる。ケーニヒシュタインはエルベ川に面した街であり、エルベ川が長年にわたって大地を削り…

Report No.140 ボヘミアンPCCカー

ボヘミアとは現在のチェコ共和国の西半分、ひいてはポーランド南部からチェコ北部にかけての地域を指すラテン語のいにしえの地名である。このボヘミアの地、チェコ共和国はプラハには、かつてタトラ国営会社スミーホフ工場というものが存在した。ここでは主…

Report No.139 ラミナーツカ

平成から令和に元号が変わった今年、天皇陛下の即位に際して所謂”ゴールデンウィーク”が今までで最長の10連休となった。10連休ともなればこの長期休暇を利用して国外に飛びたいと思うのが海外鉄の端くれとしての性。だが長期休暇ということで日本発の航空券…

Report No.138 重連

近年のダイヤ改正で愛知機関区所属DD51の運用の多くがDF200に置き換えが進み、DD51が重連で荷を引く姿は珍しいものになりつつある。車齢を考えれば当然のことであるのだが、重連で荷を引く勇ましい姿が近い将来記録の中の存在になってしまうのは少し寂しいも…