ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

貨物列車

Report No.167 最後の大一番

2021年3月ダイヤ改正にて、JR貨物愛知機関区所属のDD51の運用が終了した。かつては紀勢東線新宮方面や高山本線の貨物列車を担当するなど幅広い活躍を見せた愛知機関区所属機であったが、最末期は四日市~稲沢間のコンテナ列車および石油輸送列車あわせて数往…

Report No.163 東国の新人

欧州において、鉄道車両の多くは顧客たる鉄道会社が一から設計してオーダーメイドするものではなく、ありものの設計を微調整して導入するというセミオーダーメイドが主流となっている。これはひとえに、電化方式や信号方式さえ違えど、軌間がおおむね1435mm…

Report No.159 共産主義の大地

1917年11月7日、世界は初めて社会主義国家の成立を見た。のちにソビエト連邦となるロシア・ソビエト連邦社会主義共和国の誕生であった。第二次大戦下のソビエト連邦では、マルクス・レーニン主義の大義名分の名のもとに、集団農業化や重工業を主とした計画経…

Report No.147 原色三昧

普通の人にとっては、原色といえば赤、青、緑のような光の三原色などをイメージするだろう。だが、鉄道ファンにとって「原色」というワードは少しばかり特別な意味を持つ。鉄道ファンにとって原色とは、ある車両が登場したその時の塗装を意味する。 鉄道車両…

Report No.139 ラミナーツカ

平成から令和に元号が変わった今年、天皇陛下の即位に際して所謂”ゴールデンウィーク”が今までで最長の10連休となった。10連休ともなればこの長期休暇を利用して国外に飛びたいと思うのが海外鉄の端くれとしての性。だが長期休暇ということで日本発の航空券…

Report No.136 箱庭

夏によく聞かれる定番の質問といえば「行くべきは海か山か」ではないだろうか。海にも山にもそれぞれの魅力がありなかなか決めることのできない難問だ。鉄道写真でも海を背景にするか山を背景にするか、というのは定番の議題だろう。昨年の山陰本線迂回貨物…

Report No.134 渓谷の朝

山口線の山口線たる名所といえばどこだろうか。そんなことを山陰迂回貨物の運転が始まる直前あたりから考え始めた。津和野以南のベタなところで言えば、津和野の太鼓谷稲成や長門峡の鉄橋あたりだろうか。だが今回の迂回貨物の運転ダイヤを見ていると上りに…

Report No.133 カルストの崖

地理の授業を受けたことがる方でなくとも「カルスト地形」という名称を一度は聞いたことがある方は多いかと思う。カルスト地形の「カルスト」という名の由来はスロベニア西南部およびイタリア北東部のクラス地方が語源である。というよりも、そもそもこのカ…

Report No.132 ブリジット

友達や知り合いを「あだ名」で呼んだことがある人は多いかと思う。船や飛行機、鉄道車両もまた愛着やはたまた侮蔑をこめて愛称やあだ名がつけられることがしばしばある。国内で有名な例で言えば、キハ81がブルドッグ、419系が食パンと呼ばれていたことなどが…

Report No.131 断崖絶壁の生命線

バルカン半島の付け根の西側、イタリアの隣にスロベニアという国がある。似た国名にスロバキアがあるがそれとはまた別の国である。総人口約200万人、面積20273㎞という小国だが、北はオーストリア、東はハンガリー、南はクロアチア、西はイタリアに囲まれ、…

Report No.130 名舞台

広島地区の山陽本線長期普通に伴って運転された迂回貨物は、山陽本線の倉敷から伯備線に入り、米子から益田まで山陰本線を走行し、益田からは山口線を経由し新山口から再び山陽本線へ戻るというルートで運転された。このルートの一部はかつて所謂岡見貨物で…

Report No.128 夢物語

平成最後の年となった今年7月、西日本は停滞した梅雨前線によって記録的豪雨に見舞われた。河川の氾濫や土砂崩れなどが西日本各地で相次ぎ、多数の死傷者をもだすことになった。特に岡山・広島地域の被害は深刻で、日本の大動脈たる山陽本線で土砂崩れや盛土…

Report No.125 予兆

毎年3月のJRグループ一斉ダイヤ改正は大きな変化が起きる。廃止される列車もあれば新設される列車もある。ここ10年で言えば、定期寝台列車などの廃止が相次いだわけだが、それらの中には「事実上の廃止」という道をたどったものも多くある。どういうことかと…

Report No.122 寒暁

東北地方というと、冬は常に雪と氷に閉ざされているようなイメージを持っている方も多いと思うが実際にはそうとも限らない。太平洋側の沿岸地域は、内陸の山間部や日本海側に比べ暖かいため、雪は降るがあまり積雪は長く残るようなことは少ないというのが実…

Report No.120 落城近し

昨年3月のJR貨物ダイヤ改正では、ついに愛知機関区のDD51の運用の一部がDF200の運用に変更され正式にDD51の淘汰が始まるものと思われた。しかしいざダイヤ改正を迎えてみると、DF200に置き換えられたはずの運用はダイヤ改正前と変わらずDD51が運用にあたり、…

Report No.119 風雲児

貨物列車は一度に大量の物資を輸送できるが、その反面、速度は遅くなりがちだ。戦後、日本全国で高速道路などの高規格道路が整備されはじめ、長距離物流の主要手段がトラック輸送へと移行し始めた。この頃の国鉄の貨物輸送の主流は所謂車扱貨物と呼ばれるも…

Report No.118 ゴッタルド峠

アルプスの山々に囲まれたスイスには数多くの峠が存在するが、その中でも有名なのが南部のイタリア方面へ抜ける途中にあるゴッタルド峠だ。かつてはこの峠を越えようとして遭難するものも多く、13世紀ごろまでは道も険しく主要路としては機能していなかった…

Report No.116 異端児

かつては雪国の鉄路の象徴とも言えた除雪車だが、近年では国鉄時代に製造されたものの老朽化廃車や除雪モーターカーの置換導入、降雪量の減少による用途廃止によって徐々にその数を減らしている。だが中には除雪車としての使用を終えたのち、その他の用途に…

Report No.99 40周年

衣浦臨海鉄道碧南線は今年2017年5月25日に開業40周年を迎えた。多くの鉄道会社ではそういった記念事があると臨時列車や車両基地公開などのイベントが行われることが多い。衣浦臨海鉄道も例外ではなく、イベントが行われるのだが臨海鉄道という性質上、貨物列…

Report No.92 F

数年前まで、といってももう6年も前になるのだが、JR貨物・岡山機関区にEF65の配置があった。今は1000番台のみになってしまったが当時はまだ0番台、いわゆる一般型が在籍していた。当時は茶罐の愛称で親しまれた57号機や原色機87、100、103、116号機、貨物3…

Report No.87 赤鬼

愛知機関区に所属するDD51の多くはスノープロウの代わりにATS保護板を装着している。元々スノープロウ装着機だったとしても現在は外してしまっているものがほとんどだ。あまり雪など降らない温暖な中京圏の運用しかないため、必要になる場面が稀だからだ。た…

Report No.84 国鉄からJRへ

30年前の今日、1987年3月31日、日本国有鉄道は最後を迎え、翌日から日本国有鉄道は、JR7社として分割され民営化された。第二次世界大戦後、鉄道省からその役目を引き継いで誕生した国鉄であったが、戦後の加速度的なモータリゼーションや空路の大衆化に勝て…

Report No.83 南国

日本からさほど遠くない南国・台湾。台湾は日清戦争の後、下関条約によって当時の清から大日本帝国へ割譲され、以後第2次世界大戦終戦の1945年まで日本の統治下にあった。日本統治下において、台湾では上下水道をはじめ、電気、道路、鉄道など様々な社会イン…

Report No.81 Ready

駅と言うと、多くの人が想像するのはホームがあり旅客が乗降する場所だろう。だが、実際には、駅は大きく分けて2種類、旅客駅、貨物駅の2つがある。旅客駅は読んで字のごとく旅客が乗降するための駅。そして貨物駅は貨物の荷扱いを行う駅である。貨物駅はそ…

Report No.80 Winter Present

去る2017年3月4日、JR各社でダイヤ改正が実施された。今回の改正で個人的に一番驚いたのは愛知機関区DD51の石油運用である。今まで、石油運用は定期・臨時含め最大5往復設定されていたのだが、今回の改正で朝の5263レ~5282レ、および夕方の8075レ~6286レ(…

Report No.78 静寂

稲沢から関西本線の塩浜まで約10時間かける中央西線からの石油返空列車6287レというのがある。稲沢~塩浜は営業キロで約52km、つまり表定速度にして約5.2km/h。保線用モーターカーもびっくりな低速度である。もちろん、これはあくまで表定速度であって、実際…

Report No.74 Morning Glitter

愛知機関区には現在DD51-1146、DD51-1147、DD51-1156、3機の旋回窓付DD51が所属している。このうち、DD51-1147は、2012年10月に鷲別機関区から門司機関区へ転属したものの翌年7月に山口線・山陰本線の豪雨災害線路流出に伴い岡見貨物が廃止され余剰となり、2…

Report No.73 ラストナンバー

649両製造されたDD51のうち、最後に製造されたのは800番台の1805号機である。現在愛知機関区に所属する1805号機は、当初、佐倉機関区に新製配置され成田空港への航空燃料輸送で活躍し、その後は千葉地区で貨物輸送にあたり、その後吹田機関区、愛知機関区と…

Report No.71 赤鼻

愛知機関区に所属するDD51の多くは、貨物運用を主目的とした800番台車である。現在所属している800番台車は休車のものも含めて13両。そのうちの最若番は、1970年9月8日製造のDD51-825である。825号機はもちろん800番台車の中でも初期の機関車であり、切り抜…

Report No.64 血液の一息

「石油の一滴は、血の一滴値する。」 第一次世界大戦中の1917年、仏首相クレマンソーが米大統領ウィルソン宛に石油支援の要請をした際の電報の一文であり、第二次世界大戦中の日本でも戦時標語として用いられたほど有名なものである。この電報が打たれた第一…