ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.67 面影

 2000年以降、青い機関車と青い客車、「ブルートレイン」と呼ばれ親しまれた寝台列車たちの時代は高速道路網の発達や新幹線網の延伸、航空券の低価格化などによって続々と終焉を迎えた。京都~長崎を結んだ寝台特急「あかつき」もその一つであった。「あかつき」は、1990年から「レガートシート車」と呼ばれる14系座席車を連結するなど旅客の誘致に努力していたが、旅客減少と車両老朽化には逆らえず、2008年3月14日ダイヤ改正をもって、当時併結列車であった「なは」と共に廃止となった。

 廃止から8年以上がたった今年、長崎デスティネーションキャンペーンが開催されることに合わせて大阪から長崎まで14系大サロこと「サロンカーなにわ」による臨時列車が日本旅行主催で運行されることになった。その名も「サロンカーあかつき」。日本旅行の公式プレスによれば「あかつきをイメージしたヘッドマークを掲出します。」とのことであったので、いつもサロンカーなにわを使用する際の臨時列車のようなサロンカーなにわのヘッドマークをアレンジしたオリジナルヘッドマークが掲げられるものと思っていた。 すると数日前になって風の噂で流れてきたのは往路純正、復路オリジナルヘッドマークという話だった。これは行くしかないと決め撮影地を選定にかかったのだが、いかんせんこの列車、11月25日16時02分に大阪駅を出るというダイヤ設定であったため日の出ている間に順光で撮影できる区間が大阪~須磨の間のみとなっていた。そのうえ純正HMが掲出されるとは言え後ろにつくのはサロンカーなにわ。どこか違和感を覚えてしまう組み合わせであったのでここは編成撮りより面縦でヘッドマークを目立たせるほうがよいのではないかという話を友人とし、友人が苦心の末見つけてきた場所で撮影することにした。

 11月25日、当日朝は少し雲があったものの夕方が近づくにつれ天候は回復、秋晴れの様相を呈していた。多くのギャラリーが詰め寄せる沿線を横目に友人と二人でセッティング。通過を待った。本番通過の露払いにやってきたのは新快速、このときちょうど太陽が雲に隠れてしまい、本番もこのままかと思われた。

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 新快速通過後、太陽は雲から抜け、5分しないうちにPFのヘッドライトが見えた。太陽高度5度という絶好の秋の斜光線の中、EF65-1132が往年の「あかつき」単独ヘッドマークを掲げて「サロンカーあかつき」として東海道を下ってきた。