ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.69 煤煙の記憶

 福知山線の宝塚~福知山間、山陰本線の福知山~城崎温泉間が電化され今年で30年になる。両区間とも現在では電車特急が闊歩する路線となっているが、電化前までは気動車優等列車や客車列車の楽園であった。キハ58やキハ181といった気動車が往来する中、客車列車を牽引していたのは主にDD51であった。「出雲」、「だいせん」といった山陰本線の顔を牽いていたのはもちろんDD51であり、まさに主役であった。

 電化後、昼夜運転されていた「だいせん」は昼行列車が183系を使用した電車特急「北近畿」へ統合され廃止となり、夜行のみの運転となったのち運転区間の縮小、さらには気動車化され客車列車としての歴史に幕を下ろした。また、最後までDD51牽引の客車列車として残っていた寝台特急「出雲」も2006年3月18日ダイヤ改正をもって廃止となり両線区の客車列車は完全に過去帳入りしたのだった。

 さて、この2016年、30周年を記念して電化記念列車が運転される運びとなった。はじめ聞いたときは「どうせ、381系か117系あたりを使った列車が走るのだろう」と高を括っていたのだが、よくよく聞くとDD51牽引でサロンカーなにわが走るという。ここ最近、福知山線山陰本線で客車列車の運転が少なく、なかなか記録できずにいたところへこの運転の知らせとあって、運転日、2016年7月18日の1週間前から意気揚々とレンタカーを予約したのだった。

 いざ前日になってみると天気予報はどうもご機嫌斜め。完全に丸つぶれ、というわけではなかったが、晴れるかどうかは少々疑問符が残る空模様だった。それでも気の合う友人たちとの久々の鉄とあってレンタカーを駆って福知山方面へと足を延ばした。谷川駅付近や丹波竹田付近のストレートで往路を狙ったのだが、どちらも厚い雲に阻まれあえなく撃沈。少々士気の下がる中、復路を狙うため、山陰本線の国府~江原の撮影地へ。

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 着いてみるとすでに雑木林のように三脚が林立する場所取り合戦。圧倒される中なんとか場所を確保して通過を待った。雲が太陽の前を往ったり来たりとヒヤヒヤしながら、神頼み。通過時刻が近づくにつれてだんだんとあたりは晴れ間がのぞくようになった。「ピイッ!」っと軽い汽笛一声聞こえたかと思うと踏切が鳴ってDD51-1191が煤煙濛々とサロンカーなにわ6両を引き連れてやってきた。ここまでの黒煙が上がるのをみたのはいつぶりだろう。初夏の日差しの中、煤煙の記憶に思いをはせた。