ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.65 エンブレム

 日本初の特急用電車として開発された151系は欧州のTrans Europe Express(TEE)を意識した外観と塗装でそれまでの国鉄に新風を吹き込んだ。この、151系の先頭部には、それまでの列車になかった新たな”シンボル”が輝いていた。公募によって募集・決定された特急(Tokkyu)の「T」を図案化したといわれる金色と銀色に彩られた三角形の特急エンブレムだ。151系以降の特急電車には皆このエンブレムが取り付けられ、特急車を象徴付けるものとなった。しかし、エンブレムは後に改造により撤去されたり、塗装が簡略化されたりするものも発生した。

 JR西日本が所有していた381系のうち、福知山電車区で活躍していた車両たちは、従来金と銀で塗装されていたエンブレムが銀のみに塗装簡略化されていた車両がほとんどであった。その中で唯一、本来の金と銀で塗装されたエンブレムを装備していたのがFE41編成の京都方先頭車、クハ381-1103であった。

 福知山区381系の289系への置換が発表され引退が迫った2015年の秋、暇を見つけては山陰線沿線へ撮影へ出向いていた。しかし、このころにはすでに繁盛記以外は4両での減車運用が行われており、なかなか編成で撮るというと迫力のある画が撮れない環境であった。そこで、正面から縦構図で捕らえられれば両数を気にすることなく、迫力ある画が撮れると考えて、数少ない朝の381系の運用を狙って撮影に向かった。向かった先は山陰本線嵯峨嵐山保津峡間の竹林ちかくの踏切。

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超望遠構図で朝9時前の”きのさき6号”を待ちうけた。踏切が鳴り、竹林を颯爽と通り抜けてやってきたのは金と銀のエンブレムのFE41編成。朝の鋭い光線が端正な顔立ちとエンブレムの造形を浮かび上がらせた一瞬を切り取った。