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ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.88 寝台列車

 昨今はJR九州の「ななつ星」に代表されるような所謂「豪華寝台列車」と呼ばれるようなものがJR西日本JR東日本から発表され新たな寝台列車時代を迎えようとしている。かつての寝台列車といえば地方と都市部を結ぶ広域大量輸送手段だったのだが、高速バスや飛行機、新幹線の発達とともに衰退していった。もちろん、理由はそれだけではなく、料金体系や速達性などの課題もあった。例えば、東京~大阪間で運転していた寝台急行「銀河」は、下りの場合、東京23:00発、大阪7:18着で東京~大阪間で全区間乗車すると一番安いB寝台利用でも運賃と寝台料金を合わせて合計16070円であった。対して、現在の夜行バスの場合、東京を0時前に出発し銀河とほぼ同時刻に大阪着で1万円以下のものがほとんどだ。

 もちろん寝台列車であれば高速バスと違って寝台で横になって寝ることができるが、銀河で提供されていたのは国鉄時代に設計された寝台客車であり、横幅こそ改善されたものの寝台の縦幅は戦前から大差ない190㎝強ほどだった。日本人の平均身長が戦後格段に伸びていることを考えれば、寝台は相対的に圧迫感を覚えることになるわけで、新幹線などの速達手段などと比べると値段に見合ったサービスとは受け取られ難く、サービスの劣化として受け取られてしまったという一面もあるのだろう。料金体系も、航空券のように早期予約割引などの採用があればまた状況が変わっていたかもしれない。更にいえば、インターネットの普及に対して鉄道という業界が遅れがちだったというのもあるのだろう。今や航空券や高速バスはインターネットで気軽に予約できクレジットカードのみならずコンビニでも支払いができる時代だが、JRのほどんどの鉄道の予約サービスそこまでユーザーフレンドリーではない。

 車両維持費がバスなどに比べて格段に高いのは事実であったし、それに見合う利益が出ていたかといわれると多くの列車でそうではなかった。ほとんどの寝台列車が機関車牽引という終着駅や始発駅での機回しなどダイヤ上の制約の多い中、サービスを向上させながら利益率を上げるというのはなかなかにむつかしい話だった。しかし車両を更新するほど利益がでるわけでもないので廃止という道をたどらざるを得なかった。欧米の鉄道のように機関車牽引であっても制御客車を導入することでダイヤ上の制約を軽減したり、量産型汎用客車をカスタマイズするなどの手法が日本では取られなかった、または取れなかったことも原因のひとつなのだろう。

 今やブルートレインと呼ばれ夜を駆け抜け、日本を支えた列車たちをもう見ることはできないわけだが、トラックやバス運転手の人員不足が叫ばれる昨今、鉄道というシステム全体の改革が求められているのかもしれない。f:id:limited_exp:20170426230517j:plain

 写真は寝台特急日本海」が廃止される直前に撮ったものである。ヘッドマークとテールマークを掲げ、機関車に牽引される青い列車ほど旅情を掻き立ててくれるものは他にあるのだろうか。今の世代の子供たちがこれらを見ることができないのはいささか可哀想な感じもする。