ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.152 漢江

 1974年、韓国・ソウルで初めての地下鉄、1号線が開業した。1号線は、日本からのODA(政府開発援助)および技術支援により開業した路線である。1号線の開業に合わせては、日本から186両の電車が輸出された。これが、韓国鉄道庁1000系およびソウル地下鉄公社1000系電車である。その後も韓国で増備が続けられ、一部機器や外観デザインが変更されつつ、韓国鉄道庁・ソウル地下鉄合わせて954両が製造された。日本から輸出された車両たちは2015年までにすべて引退してしまったが、韓国内で製造された編成はつい今年の春まで運用が続けられていた。最後まで運用されていた編成たちは、前面デザインが西武6000系に似たものになっていたことから、個人的には異国の地の車両ながら、どこか懐かしい感じがして好みの車両であった。

 一昨年の2018年、所用で韓国を訪れた際にソウルで少しばかり時間があったので、なんとかしてこの1000系を記録できないかと画策し、私はソウルは漢江のほとりに向かった。なぜ漢江かというと、1号線は、ソウル駅以南では韓国鉄道公社 京釜線へと乗り入れて漢江橋梁を渡るためである。京釜線の漢江橋梁の北岸には日本のかつての公営団地を想起させるような団地群があり、人口密集地ソウルを印象付けるにはもってこいの場所である。

KORAIL 1000系 龍山~鷺梁津

 1000系は他車との共通運用であり、いつ来るか、そもそも運用にはいっているかどうかは運次第であった。来れば儲けもの、の精神で漢江のほとりで待つこと1時間ほど。韓国鉄道公社色のトリコロールカラーに塗られた1000系が漢江橋梁を渡ってきた。これぞ待った甲斐があったというもの。そびえたつ団地群を背に通勤電車が走るサマはいかにもソウルらしかった。