ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.145 海の谷

 最後の国鉄特急色485系A1+A2編成が現役から消えて既に3年以上がたつというと、字面そのものでは、そう遠くない昔のように思えるのが不思議だ。A1+A2編成が引退する前年は新潟のT18編成の引退があった。T18編成といえば最後に残ったカニ目ヘッドライトの1500番代クハ481-1508が印象的な編成であった。それもあってか、引退に際しては信越本線北越急行ほくほく線上越線信越本線羽越本線白新線と走行する大々的な引退記念団体臨時が設定された。T18編成は修学旅行臨やその他団体で時たま関西に来ていたこともあって、何度かお目にかかったことがあった。ゆえに最後のこの引退ツアーでぜひとも最後の雄姿を拝もうと、2015年5月23日、はるばる新潟の地まで友人たちと赴いたのであった。

 撮影地の候補としてはいくつかあったのだが、いかんせん夏目前の5月下旬であることから、どうにも運行ダイヤを見るにどこも太陽高度が高い。皆々思うところはあったのだが、ここはやはり信越日本海側らしい場所を狙うのがいいのではないか、ということで、米山~笠島の国道八号線俯瞰へと向かった。

 撮影地についてみると、海上はすこし靄がかかっているが、水平線は視認できる程度のものだったので、ここで撮影を行うことを決定。各々カメラを構えたのであった。この場所は国道8号線の橋梁から撮影する場所であり、かなりの高さのある場所である。そしてまた国道にかかる橋であるので、頻繁に大型トラック等が通過する。トラックが通過するたびに大きく振動するわけで、少々肝が冷えた。

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 待つこと一時間ほどだっただろうか。トンネルの奥から唸るモーター音と共にクリームと赤の485系が飛び出してきた。谷間にうなりを反響させつつ日本海を背に国鉄特急色が行くサマはこれ以上ない思い出となった。