ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.123 押し屋

 山口線では例年、年末年始に休暇の観光需要を見込んで蒸気機関車牽引列車の運転が設定される。年末のものはいつも通りSL「やまぐち号」として運転されるが、年始のものは初詣にちなんでSL「津和野稲成」号として名前を変えて運行される。ヘッドマークもこのときは正月らしい賀正と文字の入った赤地のやまぐち号ヘッドマークが掲出される。そして、この冬季運転では、例年C56-160が牽引に充当されるのが常となっている。だが勾配の多い山口線ではC56は些か非力とあって、補機としてDD51-1043が次位に連結される。黒い蒸気機関車の後ろに赤い機関車がつくのは認められないという派閥の方も多いだろうが、それぞれの時代の機関車が手を取り合って走行するのを見れるのも現代ならではで、個人的には意外と好みな運用である。なによりDD51ファンとしては本務機ではなく補機として活躍するDD51を見られるというのはなかなかにうれしいものがある。今年からは客車が35系に新しくなったがそれもつかの間、D51-200の復活もあり、C56-160は今後山口線での運転から退くことになるため、C56-160が35系を引く姿を拝めるのも今だけなのだ。そしてつまりそれは今後DD51-1043が押し屋として運用に入ることの現象も意味するわけだ。

 年始、家でゴロゴロしていると、友人らからせっかくなので山口に撮りに行かないかと誘われた。これまでも何度か誘われたことはあったのだが、なんだかんだでお流れになっており行けていなかった。去就もささやかれているしちょうどいい機会だということで誘いに乗って遥々山口まで出向いた。

 岡山でまず発起人の友人と合流後、広島と新山口駅であと2人の友人たちと合流。一旦朝まで休み、まず一発目は定番中の定番、大山路踏切で構えた。大山路踏切は本来曇りでなければ逆光となる撮影地なので予報通り曇っていてほしかったのだが予想に反してピンポイント晴れとなり撃沈。しかたなく長門峡へ追いかけるもここでも予想に反して晴れられてしまった。最後の望みを託して裏道を走り、通過時刻ギリギリで徳佐のカーブへたどり着いた。

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 構えて数分後、汽笛一声、徳佐駅を発車したSL津和野稲成号がやってきた。C56-160が赤い正月仕様HMも誇らしげにDD5-1043に手助けされながら35系を率いてゆっくりと津和野へ向かっていく。終点まであと少しだ。