ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.115 四国色

 JR化後、各地でそれぞれの地域にちなんだ色を使用した所謂”地域塗装”や”地域色”と呼ばれる塗装が車両に施されるようになった。単調な色と塗分けが多かった国鉄色に対して、地域色ではさまざまな色で斬新な塗分けを採用することでブランド化を図るだけでなく卒・国鉄を印象付ける目的もあったのだろう。

 JR四国では、国鉄から継承した車両の多くを四国色と呼ばれるアイボリー地にコーポレートカラーの水色帯を巻いた塗装に変更し、車両のイメージアップを図った。車両によって塗分け方に差異はあるものの、車体上半分と下半分で塗分けるなどの簡単な塗分けが多かった国鉄色に対して、四国色では細帯を取り入れたり、前面は斜めで塗分けたりと意匠を凝らした塗装になった。一時期は四国島内の車両の大多数がこの塗装を纏っていたが、その後の車両置換や塗装変更でずいぶんと数を減らしてきている。さらに言えば、JR化後に製造された新系列普通車気動車にはこの塗分けが継承されなかったことから四国色を纏っているものは国鉄型のみである。

 お盆も過ぎたころの昨年8月、夏の鉄道風景を撮りに行こうと徳島へ赴いた際(Report No.113 夏休み - ぽっぽ屋備忘録)、ついでにとこの四国色を纏ったキハ40系列を撮影することにした。徳島に所属するキハ40系列について言えば、現在既に主力運用は新型車両にとって代わられており、もっぱら路線末端運用やラッシュ時運用、臨時運用のほうが主となっている。更には一部車両が国鉄時代の朱色一色塗装「首都圏色」に変更されていることもあり四国色で統一された編成を撮ることは以前ほど簡単ではなくなってきているのだ。

 さてさて、そんな状況の中、夏場おいしい運用として被写体に選んだのは牟岐線の朝の3連運用530D。この列車は徳島側からキハ40、キハ47、キハ47の順で組まれた編成で運転される列車だ。そもそも時間帯的に撮影できる箇所は数か所しかないのだが、お盆も過ぎると徐々に秋の訪れとともに日の出時刻は遅くなり、太陽方位も南に下がってくるため、撮れる場所はさらに制限されてくる。そこで選んだのが牟岐線は阿波中島-阿南の築堤区間だった。

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 まだまだ残暑厳しい中、田んぼ脇に友人たちと陣を張り四国色3連がやってくることを祈りながら待った。7時半ごろ、夏空の元、四国色3連キハ40がやってきた。背景奥には育ちだした積乱雲らしき雲、手前には重く頭を垂れだした稲穂。夏の匂いにどこか懐かしいディーゼルの香りを混ぜて四国色が駆け抜けていった。