ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.98 復活

 蒸気機関車と言われて多くの人が真っ先に思いつくのはもはや代名詞にもなっている「デゴイチ」だろか。1935年に製造開始し、1950年の製造終了までに1115両が製造され、北は北海道、南は鹿児島まで配置され、全国どこでも見ることのできる機関車だった。それゆえ蒸気機関車の代名詞になれたのだろう。1115両製造されたうち、178両が保存されたが本線走行可能な動態保存機は最近までたったの1両、JR東日本の所有するD51-498のみであった(※注1)。そんな中、2014年にJR西日本は現在主にSL北びわこで使用しているC56-160が老朽化していることを理由にこれまで梅小路蒸気機関車館(現・京都鉄道博物館)で動態保存されていたD51-200を本線復帰させることを発表した。8620形8630やC62-2、C58-1などマニアックな機関車が多数所属する梅小路区の中からD51-200が選ばれたのはやはり蒸気機関車の代名詞だからだろうか。

  本線復帰にあたっては、老朽化、劣化していた部品が全面的に修繕され、SL北びわこの牽引を視野にいれ、ATS-Pが設置された。他には後方監視カメラの設置や、ライトのシールドビーム化、旋回窓の設置、金帯装飾の追加など外観に変化が生じている。

 2016年10月20日、満を持して本線試運転が行われる運びとなり、EF65に牽引され北陸本線へと試運転へ行くはずだったのだが、回送途中に炭水車が軸焼けを起こし試運転は中止になった。この後、数か月軸焼け故障の修繕を行い、2017年5月19日に本6線自走試運転が行われ、晴れて本線復帰となった。そして6月に入り、12系5両を連結したSL北びわこを想定した単独試運転3日と4日に行われた。

 6月4日は初夏には珍しく驚くほど澄んだ青空だった。夕刻、D51-200がEF65に連れられて梅小路へ帰ってくるという情報を知人からいただき、それならばシルエットでもどうかと思いたちふらっと東海道本線は稲枝~能登川へ赴いた。

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 ついてみると思ったより築堤が高くなく、構図に苦労したのだが、どうにか路肩に超ローアングルで構えて対処。ファインダー左端ぎりぎりに太陽が傾いてきたころ、ゆっくりとEF65に引き連れられてD51-200がやってきた。D51-200がこれからどんな活躍を見せてくれるのか、実に楽しみだ。