ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.96 和製ICE

 JR九州の看板特急車両の一つといえば、「かもめ」と「ソニック」で使用される885系だろう。それまでの783系や787系とは対照的に白を基調とした流線形を意識し絞られた非貫通構造の先頭車デザインは、同時期の日本の車両の中でも群を抜いて洗練されているといっても過言ではないだろう。実は洗練されているのには少しばかりワケがある。885系のデザインは、ドイツ鉄道ICE-T、ICE3のデザインを元にしており、ICE-T、ICE3のデザイナーはというと、ロケットや戦闘機とも呼ばれたJR西日本500系新幹線をデザインしたデザイナーなのだ。ICEと比べると885系はライト形状や運転席まわりの雰囲気、連結器カバーなど似ている部分は多いが、各所にアレンジが加えられている。さしずめ和製ICEといったところか。

 登場時は「ソニック」用と「かもめ」用で編成が分けられており、ソニック用は前面窓周りと車体下部に青色の帯、かもめ用は黄色の帯が巻かれていた。また、それぞれ、ソニック、かもめのロゴが車体各所にあしらわれていた。ただ、これらは運用共通化のため2012年までに青色に統一が図られ、車体側面のソニック、かもめのロゴも撤去された。しかし、ノーズ部分に設置されていたソニック、かもめエンブレムだけは残されており、ちょっとしたチャームポイントのようになっている。

 以前、485系Do32編成のさよなら運転(Report No.56 南国淑女 - ぽっぽ屋備忘録)を撮影しに九州へ赴いた際、オマケで885系ソニック」を撮影することができた。

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 やってきたのは元「かもめ」編成、SM5編成。ノーズにあしらわれた「かもめ」のエンブレムがそれを物語っていた。第1編成登場からすでに17年が経とうとしているが、現代でも十分に通用する決して古くは見えない秀逸なデザイン。これからも末永く活躍してもらいたいものだ。