ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.95 湖西線

 湖西線京都府山科駅から滋賀県近江塩津駅までを結ぶ日本海縦貫線を構成する路線の一つである。その名の通り、琵琶湖の西岸を走り、北陸と関西を短絡する路線になっている。短絡し、高速化する目的から、基本的に勾配19‰以下、一部例外を除き曲線の曲率半径は1400m以下、踏切なしとして建設されている。このため、基本的には築堤やコンクリート高架橋で構成されているのだが、近江塩津駅を出てすこし永原方に走ると、コンクリートの高架の途中にトラス橋が2つ連続して現れる。地図を見ていただければよくわかるのだが、線路は田畑を横切り山腹に近づいていくだけでトラス橋が架かっている部分に大きな川や谷が存在するわけではない。つまり、自然的な理由でわざわざトラス橋にする必要はないはずなのだ。そう、ここには人為的な理由がある。実はこのトラス橋の下には2つの古墳が存在しているのだ。建設時の調査が不十分だったためなのか、古墳の一部は橋脚に飲まれてしまっているのだが、大部分はトラス橋によって回避され残されている。

 高架橋とトラス橋が入り混じるこの区間湖西線の高規格さを象徴するような区間だ。5月の半ば、知人から近く金沢方面からのロングレール工臨の日中返却、工9588レがあると聞いて、ネットで撮影地を探していると特徴的なこの2連トラス橋で撮影している写真が出てきた。北陸方面との短絡線である湖西線で、”湖西線感”を強調しつつ金沢工臨の返却を撮れるとあればもう向かうしかない。光線角度を計算すると通過時間帯はちょうど順光。返却の走る5月29日の天気予報は晴れ。友人たちも誘って近江塩津へ。初夏の陽気の中、サンダーバードで構図を確認しつつDD51牽引の工9588レ通過を待った。

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 待つこと2時間ほど。2連トラス橋の向こうに赤い機関車が見えた。まだ全検明けで綺麗なDD51-1191に引き連れられてロンチキことチキ5500の10両編成がやってきた。2連トラス橋を抜けるその瞬間、それまでの汗がにじむような暑さも忘れて夢中でシャッターを切った。