ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.71 赤鼻

 愛知機関区に所属するDD51の多くは、貨物運用を主目的とした800番台車である。現在所属している800番台車は休車のものも含めて13両。そのうちの最若番は、1970年9月8日製造のDD51-825である。825号機はもちろん800番台車の中でも初期の機関車であり、切り抜きナンバーをはじめ初期車特有の3分割ラジエーターカバー、解放テコの取り回し、屋根上構造の違いなど様々なところで他と比べ差異がある。

 更に極めつけは、825号機がA更新車であることだ。825号機を除くA更新車は全てブロックナンバープレート方式であり、ナンバープレートは白で塗装されている。しかし、825号機は、切り抜きナンバーのためブロックナンバープレート方式のように白で塗装することができない。このため、ナンバーまわりはボンネット同様、赤で塗装されており、A更新車唯一の”赤鼻の機関車”となっているのだ。

 過去の例を見れば、九州地区などで使用されていた原色機DD51の前面ナンバープレートやその周りがブロック式ながら赤で塗装されていたことがあった。しかし、ボンネット上部はグレーで塗装されていたし、ライト周りには白帯が巻かれていたので赤鼻というほどではなかった。

 切り抜きナンバーの初期車がA更新工事を受けたからこそ実現した組み合わせである825号機の塗り分けは、個人的に前から興味を持っていたのでチャンスさえあればなくなるまでに一度はどんな形ででも撮りたいと思っていた。だが、天候や運用、自身の予定がかみ合わずなかなか撮れずにいた。そんなある日、ちょうど予定のなかった晴れの日に運用を見ると昼の79レに825号機が重連次位で運用に入っていた。この運用では何もなければこのまま返しの5380レで825号機が先頭に出る。実は裏で網干訓練も走っていたのだが、次にいつ825号機が撮れるともわからないのでこちらを優先。日没が厳しいことは知っていたが清州駅北側の踏切へ向かい通過を待った。

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 やはりこの時期、駅の影や植え込みの陰などが見る間見る間に延びる。つるべ落としとはよく言ったものだ。塩浜へ向かう75レが通過したあと少しして今にも影に飲まれそうな東海道本線を赤鼻の825号機先頭に5380レがやってきた。光線は1/3面光といったところか。

 次にチャンスがあればまた撮りたいものだ。