ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.57 新世界より

日本の鉄道は土地柄路盤の弱い路線が多く、高速化や大量輸送、大出力化の足かせとなってきた。

これが顕著に表れているのがディーゼル機関車の歴史である。欧米ではディーゼル機関車というと主流は所謂ディーゼル・エレクトリック方式と言われるものだ。ディーゼルエンジンで直接車輪を回すのではなくディーゼルエンジンで発電機を回し、発電した電力でモーターを回し駆動するという方法である。この方式ではエンジンを一番効率のよい回転数で定速稼働させられること、エンジンと違ってトルク特性の制御しやすい電気モーターを利用できる。これらより、後述する液体式などで必要となる液体式変速装置などを搭載する必要がないため、容易に大出力化が可能となる。しかし、反面、発電機を載せる必要があり、抵抗器などの制御器、モーターを積む必要かあるため重量増となることから、路盤の弱い日本では近年まであまり普及しなかった。
日本でもっぱら普及していたのは液体式と言われる形態で、いわば自動車でいうオートマチックトランスミッション車のような形態である。これは、エンジンからの出力は一度液体式変速装置を通って車輪に伝えられるという方式で、全体として部品を少なくし軽量化できるが、液体変速装置の損失や大出力化対応などが難しく機関車の出力向上が難しいという欠点があった。
国鉄ではDD50やDF50などのディーゼル・エレクトリック方式の機関車を運用していたが、路盤制限によって重量に対して出力が低くなってしまったため主流にはなりえなかった。そこでこれらに変わって開発されたのがDE10やDD51といった液体式ディーゼル機関車であった。以前出力は不足気味であったが、当時の技術レベルからすると液体式が実情にあっていた。
 
しかし、近年、半導体分野などの技術革新によってパワーエレクトロニクスが進歩しディーゼル・エレクトリック方式でも発電機や制御器を小型化軽量化できるようになった。また、大出力液体式変速装置の開発が国鉄末期を境に行われなくなったことから、DD51の置き換えとしてはディーゼル・エレクトリック方式のDF200が開発された。
2014年には北海道内のDD51の運用を全て置き換え、JR九州ななつ星の牽引機としても製造されたDF200の次なる活躍は愛知機関区になる。現在、北海道から転用改造を受けて転属してきたDF200-223が試運転を実施中であり、本格始動まではまだ幾分か猶予がありそうだ。去る2016/9/24、79レ~72レのダイヤを使用した試運転があり友人たちと連れたって撮影に出向いた。往路の79レの編成はDF200-223を先頭にDD51-1804とDD51-825の重連が死重としてつく編成で、復路72レはこれに加えてタキ14両がつく編成であった。

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 往路79レを朝日~富田のカーブで撮影したのち、近所のラーメンに舌鼓をうち、弥冨~永和の白鳥信号所の撮影地へと向かった。この日はあいにく時たま小雨の降る天気であったが、白鳥信号所は晴ならばむしろ前面が逆光気味となる撮影地なので好都合であった。大勢のギャラリーが見守る中、DF200とDD51三重連に牽かれた石油貨物が駆けのぼってきた。DF200には珍しく煙を高々と上げ、軽快に走り去っていった。新世界はもうすぐそこまで来ているようだ。