ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.107 山線

函館本線は函館と旭川を結ぶ北海道の大動脈だが、そのうち長万部~小樽は所謂「山線」と呼ばれる急勾配、急曲線の連続する単線ローカル線である。そう、今は。かつてはこの山線こそが文字通り”メインライン”だった。だが、千歳線や室蘭本線の線形改良・複線…

Report No.106 野を越え、山越え、谷越えて

いささかばかり欧州遠征の話が続いたので今回は国内での話を思い出して書いてみることにしよう。 7月の中旬、知人からDD51牽引の35系新型客車の試運転が山口線でまた走るとの話を教えていただいた。これの前回のDD51牽引の試運転(Report No.100 復刻 - ぽっ…

Report No.105 ニーベルンゲンの宝

ライン川の底にはニーベルンゲンの宝が沈んでいる、そんな伝説がドイツにある。ニーベルンゲンの宝とは、13世紀ごろにドイツで書かれた叙事詩『ニーベルンゲンの歌』に登場するもので、勇者ジークフリートが小人のニーベルンゲン族を制服したときに得た財宝…

Report No.104 走る舞台

オリエント急行といえば、アガサ・クリスティーの名作推理小説「オリエント急行の殺人」など数々の文学作品、映画の舞台にもなった鉄道ファンならずとも多くの人が知っている列車だ。オリエントはもともとラテン語で東方、東洋を指す言葉で、転じてヨーロッ…

Report No.103 九頭竜川

鉄道のダイヤグラムでは列車一つずつに列車番号と呼ばれる管理番号が振られていおり、JRの場合、それぞれの列車は1~9999までのいずれか数字で表される。付番方法には規則があり、特に6000、7000、8000、9000番代は所謂臨時列車のための列車番号である。6000…

Report No.102 おわら風

お盆というと、京都五山送り火に代表されるように全国で祭りや慰霊行事が多数催される。お盆行事の多くは8月15日を中心に前後数日に集中して行われるが、中には盆と名はついているものの、これ以外の期間で開催されるものもある。その一つが富山県の八尾地区…

Report No.101 天高く馬肥ゆる秋

一口に「団体臨時列車」と言ってもその内容は様々である。旅行会社のツアー企画であったり、結婚披露宴を兼ねたブライダルトレインであったり、企業や学校の部活動の遠征や節目の記念ツアーであったり、はたまた修学旅行であったりと、その内容は実に多岐に…

Report No.100 復刻

SLやまぐち号には永らく、12系客車を改造したレトロ調車両が用いられてきた。しかし、使用されている12系は、最も新しいものでも1971年製であり車齢は46年を超えている。車齢46年ともなれば、経年による老朽化は深刻で、近々置換計画が持ち上がるのではない…

Report No.99 40周年

衣浦臨海鉄道碧南線は今年2017年5月25日に開業40周年を迎えた。多くの鉄道会社ではそういった記念事があると臨時列車や車両基地公開などのイベントが行われることが多い。衣浦臨海鉄道も例外ではなく、イベントが行われるのだが臨海鉄道という性質上、貨物列…

Report No.98 復活

蒸気機関車と言われて多くの人が真っ先に思いつくのはもはや代名詞にもなっている「デゴイチ」だろか。1935年に製造開始し、1950年の製造終了までに1115両が製造され、北は北海道、南は鹿児島まで配置され、全国どこでも見ることのできる機関車だった。それ…

Report No.97 朝帰り

鉄道車両は最近の軽量ステンレス車両やアルミ車両と呼ばれるような車両でも20トン以上の重さがある。一見骨組みだけに思えるコンテナ貨車ですら18トン以上ある。一般的な乗用車が1.5トン程度であることを考えればかなり重く感じられるのではないだろうか。だ…

Report No.96 和製ICE

JR九州の看板特急車両の一つといえば、「かもめ」と「ソニック」で使用される885系だろう。それまでの783系や787系とは対照的に白を基調とした流線形を意識し絞られた非貫通構造の先頭車デザインは、同時期の日本の車両の中でも群を抜いて洗練されているとい…

Report No.95 湖西線

湖西線は京都府山科駅から滋賀県の近江塩津駅までを結ぶ日本海縦貫線を構成する路線の一つである。その名の通り、琵琶湖の西岸を走り、北陸と関西を短絡する路線になっている。短絡し、高速化する目的から、基本的に勾配19‰以下、一部例外を除き曲線の曲率半…

Report No.94 土佐路

およそ30年ぶりにサロンカーなにわが高知へ行く、そんなニュースが飛び込んできたのは2月の半ばだっただろうか。四国デスティネーションキャンペーンに合わせて5月13日から14日にかけて岡山~高知を1往復することが発表された。岡山から高知へとなると、経由…

Report No.93 縁の下の力持ち

レールは車輪が上を走るごとにその荷重などから変形、疲労、損傷、磨耗していく。さらに鋼を材料にしているので長い間使われると腐食もするし、直流電化の鉄道であれば電食もする。故に安全運行のためにはレールの定期的な交換が不可欠である。 急曲線の多い…

Report No.92 F

数年前まで、といってももう6年も前になるのだが、JR貨物・岡山機関区にEF65の配置があった。今は1000番台のみになってしまったが当時はまだ0番台、いわゆる一般型が在籍していた。当時は茶罐の愛称で親しまれた57号機や原色機87、100、103、116号機、貨物3…

Report No.91 つばめ

1992年夏ダイヤ改正でかつての東海道・山陽本線名門優等列車「つばめ」がJR九州の特急として復活した。この「つばめ」は鹿児島本線の特急「有明」のうち西鹿児島(現在の鹿児島中央)発着のものを改称したものだった。かつての名門特急ということもあって、J…

Report No.90 オイラン列車

最近だとオイランと言われてもなかなかオイランが何なのかわからないという人が多いのではないだろうか。漢字で書くと花魁となりこれまた難読だ。花魁とはかつて存在した吉原遊郭の遊女で高位の者を指す言葉だった。つまるところ、早い話が現代でいう風俗街…

Report No.89 白電

直流と交流両方の電源区間をもつ常磐線や山陽本線・鹿児島本線での運用を目的として唯一の交直流両用近郊型電車として開発されたのが415系列である。登場時1960年から1961年製造分までの間こそあずき色の地にクリーム帯を巻いた交流電車標準塗装、いわゆる赤…

Report No.88 寝台列車

昨今はJR九州の「ななつ星」に代表されるような所謂「豪華寝台列車」と呼ばれるようなものがJR西日本、JR東日本から発表され新たな寝台列車時代を迎えようとしている。かつての寝台列車といえば地方と都市部を結ぶ広域大量輸送手段だったのだが、高速バスや…

Report No.87 赤鬼

愛知機関区に所属するDD51の多くはスノープロウの代わりにATS保護板を装着している。元々スノープロウ装着機だったとしても現在は外してしまっているものがほとんどだ。あまり雪など降らない温暖な中京圏の運用しかないため、必要になる場面が稀だからだ。た…

Report No.86 潮風

山陰本線に「出雲」の名前が帰ってくる、そんな胸踊る発表がされたのは2017年の始めのころであっただろうか。14系サロンカーなにわ5両を使用してDD51が牽引し、大阪〜米子を往復の運行で、往路はだいせん、復路は出雲のヘッドマークを掲げて走るという大盤振…

Report No.85 残影

国鉄型の急行型、特急型車両はその多くが分散冷房を採用していた。153系、165系、455系、485系、キハ58などなど、国鉄の顔を代表したような車両の多くが分散冷房であった。これは、分散冷房を採用することで騒音が減ること、屋根にダクトを設置する必要がな…

Report No.84 国鉄からJRへ

30年前の今日、1987年3月31日、日本国有鉄道は最後を迎え、翌日から日本国有鉄道は、JR7社として分割され民営化された。第二次世界大戦後、鉄道省からその役目を引き継いで誕生した国鉄であったが、戦後の加速度的なモータリゼーションや空路の大衆化に勝て…

Report No.83 南国

日本からさほど遠くない南国・台湾。台湾は日清戦争の後、下関条約によって当時の清から大日本帝国へ割譲され、以後第2次世界大戦終戦の1945年まで日本の統治下にあった。日本統治下において、台湾では上下水道をはじめ、電気、道路、鉄道など様々な社会イン…

Report No.82 11年前

2006年3月17日発の運転をもって客車寝台特急「出雲」が廃止された。そして、これをもって山陰本線におけるDD51の定期運用および客車列車は消滅となった。それから11年の今年、山陰本線にDD51牽引でサロンカーなにわを使用した団体臨時列車が走ることになった…

Report No.81 Ready

駅と言うと、多くの人が想像するのはホームがあり旅客が乗降する場所だろう。だが、実際には、駅は大きく分けて2種類、旅客駅、貨物駅の2つがある。旅客駅は読んで字のごとく旅客が乗降するための駅。そして貨物駅は貨物の荷扱いを行う駅である。貨物駅はそ…

Report No.80 Winter Present

去る2017年3月4日、JR各社でダイヤ改正が実施された。今回の改正で個人的に一番驚いたのは愛知機関区DD51の石油運用である。今まで、石油運用は定期・臨時含め最大5往復設定されていたのだが、今回の改正で朝の5263レ~5282レ、および夕方の8075レ~6286レ(…

Report No.79 ニセコの思い出

函館本線 長万部~小樽間、通称山線。かつてここはC62が牽引する「ニセコ」が走ることで有名だった。C62が引退して以降はC11がその後を引き継いで2014年まで「SLニセコ号」として運行していた。しかし牽引に用いられていたC11に新型ATSの設置が難しかったこ…

Report No.78 静寂

稲沢から関西本線の塩浜まで約10時間かける中央西線からの石油返空列車6287レというのがある。稲沢~塩浜は営業キロで約52km、つまり表定速度にして約5.2km/h。保線用モーターカーもびっくりな低速度である。もちろん、これはあくまで表定速度であって、実際…