ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.137 遠戚

国鉄DD54ディーゼル機関車といえば、かつて欠陥機関車とあだ名され、法定耐用年数の18年を満たさずして引退した曰く付き機関車である。DD54は当時西ドイツで既に実用化されていたV160形ディーゼル機関車の設計を元に開発されたものだった。だが、実際に運用…

Report No.136 箱庭

夏によく聞かれる定番の質問といえば「行くべきは海か山か」ではないだろうか。海にも山にもそれぞれの魅力がありなかなか決めることのできない難問だ。鉄道写真でも海を背景にするか山を背景にするか、というのは定番の議題だろう。昨年の山陰本線迂回貨物…

Report No.135 歴史街道

第一次世界大戦が終結しオーストリア=ハンガリー二重帝国が解体されるまでスロベニアはオーストリア領であった。オーストリア=ハンガリー帝国がスロベニアを支配する中、1869年、スエズ運河が開通し地中海沿岸の港の地位は大きく向上した。当時帝国は現在の…

Report No.134 渓谷の朝

山口線の山口線たる名所といえばどこだろうか。そんなことを山陰迂回貨物の運転が始まる直前あたりから考え始めた。津和野以南のベタなところで言えば、津和野の太鼓谷稲成や長門峡の鉄橋あたりだろうか。だが今回の迂回貨物の運転ダイヤを見ていると上りに…

Report No.133 カルストの崖

地理の授業を受けたことがる方でなくとも「カルスト地形」という名称を一度は聞いたことがある方は多いかと思う。カルスト地形の「カルスト」という名の由来はスロベニア西南部およびイタリア北東部のクラス地方が語源である。というよりも、そもそもこのカ…

Report No.132 ブリジット

友達や知り合いを「あだ名」で呼んだことがある人は多いかと思う。船や飛行機、鉄道車両もまた愛着やはたまた侮蔑をこめて愛称やあだ名がつけられることがしばしばある。国内で有名な例で言えば、キハ81がブルドッグ、419系が食パンと呼ばれていたことなどが…

Report No.131 断崖絶壁の生命線

バルカン半島の付け根の西側、イタリアの隣にスロベニアという国がある。似た国名にスロバキアがあるがそれとはまた別の国である。総人口約200万人、面積20273㎞という小国だが、北はオーストリア、東はハンガリー、南はクロアチア、西はイタリアに囲まれ、…

Report No.130 名舞台

広島地区の山陽本線長期普通に伴って運転された迂回貨物は、山陽本線の倉敷から伯備線に入り、米子から益田まで山陰本線を走行し、益田からは山口線を経由し新山口から再び山陽本線へ戻るというルートで運転された。このルートの一部はかつて所謂岡見貨物で…

Report No.129 リベンジ

一度外を見てしまえばまた行きたくなるというもの。今年も夏季休暇を利用して欧州遠征を組むことにした。今回はスロベニア、ドイツをメインに遠征することにし、スイスはチューリッヒを中心に動く計画にし、以前から興味があると言っていた友人たち3人を誘っ…

Report No.128 夢物語

平成最後の年となった今年7月、西日本は停滞した梅雨前線によって記録的豪雨に見舞われた。河川の氾濫や土砂崩れなどが西日本各地で相次ぎ、多数の死傷者をもだすことになった。特に岡山・広島地域の被害は深刻で、日本の大動脈たる山陽本線で土砂崩れや盛土…

Report No.127 檸檬

西武鉄道といえば、黄色い車体の電車を思い浮かべる方も多いかと思う。だが最近ではステンレス車両やアルミ車両の導入が進んだことで黄色い車体の車両は少しずつ数を減らしてきている。特に湘南顔の黄色い車両となると、西武線ではかなり数を減らしている。…

Report No.126 悲願の末路

2018年3月31日、JR西日本三江線はその88年の歴史に幕を閉じた。島根県江津から広島県の三次までを結ぶ全長108.1kmのローカル線であり、本州では初の100km超えの路線の全線廃止となった。江の川沿いに山陰方面と山陽方面を結ぶ陰陽連絡船として計画され、部分…

Report No.125 予兆

毎年3月のJRグループ一斉ダイヤ改正は大きな変化が起きる。廃止される列車もあれば新設される列車もある。ここ10年で言えば、定期寝台列車などの廃止が相次いだわけだが、それらの中には「事実上の廃止」という道をたどったものも多くある。どういうことかと…

Report No.124 弾丸機関車

日本で新幹線が産声を上げた翌年、当時の西ドイツで最高速度時速200キロでの運転を目指して試作新型電気機関車E03型が開発された。E03型は4両が製造され、1965年から5年間営業運転を含む実地試験を行った。そしてその実績を踏まえて投入されたのが量産車であ…

Report No.123 押し屋

山口線では例年、年末年始に休暇の観光需要を見込んで蒸気機関車牽引列車の運転が設定される。年末のものはいつも通りSL「やまぐち号」として運転されるが、年始のものは初詣にちなんでSL「津和野稲成」号として名前を変えて運行される。ヘッドマークもこの…

Report No.122 寒暁

東北地方というと、冬は常に雪と氷に閉ざされているようなイメージを持っている方も多いと思うが実際にはそうとも限らない。太平洋側の沿岸地域は、内陸の山間部や日本海側に比べ暖かいため、雪は降るがあまり積雪は長く残るようなことは少ないというのが実…

Report No.121 アジアンTGV

1964年日本で新幹線が誕生し、早くも54年。その後新幹線の後を追って世界各国で高速鉄道がつくられることとなった。有名どころで言えばドイツのICE、フランスのTGV、イタリアのペンドリーノなどがあり、これらは世界中様々な国へ輸出され運用されている。中…

Report No.120 落城近し

昨年3月のJR貨物ダイヤ改正では、ついに愛知機関区のDD51の運用の一部がDF200の運用に変更され正式にDD51の淘汰が始まるものと思われた。しかしいざダイヤ改正を迎えてみると、DF200に置き換えられたはずの運用はダイヤ改正前と変わらずDD51が運用にあたり、…

Report No.119 風雲児

貨物列車は一度に大量の物資を輸送できるが、その反面、速度は遅くなりがちだ。戦後、日本全国で高速道路などの高規格道路が整備されはじめ、長距離物流の主要手段がトラック輸送へと移行し始めた。この頃の国鉄の貨物輸送の主流は所謂車扱貨物と呼ばれるも…

Report No.118 ゴッタルド峠

アルプスの山々に囲まれたスイスには数多くの峠が存在するが、その中でも有名なのが南部のイタリア方面へ抜ける途中にあるゴッタルド峠だ。かつてはこの峠を越えようとして遭難するものも多く、13世紀ごろまでは道も険しく主要路としては機能していなかった…

Report No.117 懐かしのシュプール

かつてはブルートレインなどの優等列車から普通列車まで、客車列車は幅広く運転されていたが、今や一部のイベント用などの波動用輸送や観光列車を除いてめっきりその数を減らしてしまった。特に2000年代以降、低価格な高速バスの台頭や新幹線サービスの向上…

Report No.116 異端児

かつては雪国の鉄路の象徴とも言えた除雪車だが、近年では国鉄時代に製造されたものの老朽化廃車や除雪モーターカーの置換導入、降雪量の減少による用途廃止によって徐々にその数を減らしている。だが中には除雪車としての使用を終えたのち、その他の用途に…

Report No.115 四国色

JR化後、各地でそれぞれの地域にちなんだ色を使用した所謂”地域塗装”や”地域色”と呼ばれる塗装が車両に施されるようになった。単調な色と塗分けが多かった国鉄色に対して、地域色ではさまざまな色で斬新な塗分けを採用することでブランド化を図るだけでなく…

Report No.114 新天地

JR東日本では1993年以降導入した新形式には形式番号の頭にEを付与するようになった。これは東を意味する英語”East”の頭文字のEをとったものだ。国鉄の分割後、各社で形式番号を付与していく中で、番号だけの形式付与では形式が被る可能性が出てきたからだ。 …

Report No.113 夏休み

子供時代、夏休みとなると心躍った方も多かったはずだ。そして家族や友達と海水浴に海に行った方も少なからずいるだろう。そんな海水浴客のために夏の特定期間だけ開業する駅が四国にある。牟岐線の田井ノ浜駅は、田井ノ浜海水浴場に隣接する臨時駅で、海水…

Report No.112 帰郷

大陸鉄道の醍醐味の一つといえば、やはり島国たる日本ではお目にかかれない国際列車だろう。もちろん定期の国際列車もあれば臨時、団体の国際列車もある。各国、電化方式や信号方式など様々な違いこそあれど、陸続きでかつ線路幅が同じというだけで様々な国…

Report No.111 冬光線

山陽方面へのレール輸送は、大抵の場合、宮原区常駐の下関区所属EF65-1000が牽引するのだが、時たま宮原所属のDD51が牽引に充当されることがある。だが、山陽本線方面のレール輸送のダイヤは夜もしくは早朝に向日町に帰ってくるものが多く、日が長いうちしか…

Report No.110 Guten Morgen

日本では既に絶滅危惧種とすら言える機関車牽引の客車寝台列車だが、海を渡った諸外国ではまだまだ全盛のところもある。中国やロシアならば大陸を横断するような夜行列車が数多く運転されているし、数を減らしてきてはいるもののヨーロッパでもドイツ発スイ…

Report No.109 Rainy Day

東京の中心部をぐるりと一周する山手線。現在主力の車両はE231系500番台だが、後継となるE235系が2015年から営業運転を開始し、今年2017年からはE235系量産車の営業運転が始まり、続々とその勢力を増やしている。11月11日現在、既に11本のE235系が営業運転に…

Report No.108 2000mm

蒸気機関車の性能を語る際、しばしばその動輪直径が話題に上がることがある。これはなぜかというと、実は蒸気機関車の場合、その動輪直径によって最高速度が左右されるからである。蒸気機関車は、まず燃料を燃やしてその熱で水を沸かし、蒸気を発生させる。…