ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.144 ゴーグル

“ゴーグル”の愛称で親しまれている機関車が中欧いる。こういうと前面窓のまわりが眼鏡のフレームのように塗られているような車両を想像する人も多いかもしれない。だが、この“ゴーグル”機関車は塗装ではなく、前面窓自体が車体から少し前に張り出した形になっており、いわばダイビングで使うような両眼一体型のゴーグルを前面に取り付けたようななりをしている。おそらくは冬季の着雪防止といったところがこのデザインの意図なのであろう。

“ゴーグル”の名で親しまれているのはチェコ・スロバキア鉄道が開発・製造したT478.3型やその派生形式の一群である。1970年ごろから製造され現在は機器更新などもうけチェコスロバキア、はたまた一部はイタリアなど周辺国でも運用されている。このように国鉄私鉄問わず幅広く運用されていること、運用年数が長いことなどから塗装バリエーションが多く、見ていて飽きない車両だ。実際、2019年GW遠征ではチェコスロバキア合わせて4日間ほどしかいなかったにも関わらず、私鉄貨物塗装2種、チェコ鉄道貨物塗装、スロバキア鉄道塗装、スロバキア鉄道旧塗装、などなど様々な塗装の車両を見ることができた。

さて、2019年GW遠征では、VSOEブダペスト便(Report No.143 ドナウの真珠 - ぽっぽ屋備忘録)の翌日、スロバキアにて動態保存蒸気機関車の運転が行われるという予定だったため、VSOEをとった後は即ハンガリーを離脱しスロバキアの片田舎Žilinaへと足を向けた。このŽilina周辺の非電化路線ではゴーグル牽引の客車列車が走っているとの情報を得ていたため、翌日早朝から蒸気機関車ついでにと“ゴーグル”撮影に向かった。

向かった先はŽilinaから南へ45kmのHorná Štubňa周辺。ついてみて驚いたのは撮影地がかつての安全側線と思しきものの減速用勾配の築堤だったことだ。たしかに周りは平坦な土地なので不自然な起伏だとは思っていたがまさか安全側線とは思わなかった。 ZSSK754 RE(Regio Express)

待つことしばし、スロバキア鉄道色のゴーグルが同じスロバキア鉄道色の客車を引っ張ってやってきた。牽引担当のゴーグルは750型で、いわゆる機器更新機だ。運転士が手を振りながら、軽く挨拶がわりに警笛を鳴らしていった。中欧諸国で撮影していると写真を撮られるのがうれしいのかポーズをきめたり警笛を軽く鳴らしたりとサービス旺盛な乗務員が多い気がする。心地の良いおもてなしに感謝である。