ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.113 夏休み

 子供時代、夏休みとなると心躍った方も多かったはずだ。そして家族や友達と海水浴に海に行った方も少なからずいるだろう。そんな海水浴客のために夏の特定期間だけ開業する駅が四国にある。牟岐線田井ノ浜駅は、田井ノ浜海水浴場に隣接する臨時駅で、海水浴場の利用客数がピークを迎える時期にだけ列車が停車するようになる。例年、田井ノ浜駅は7月中旬から8月の初旬に開設され、開設期間は一部特急も停車する立派な駅になる。

 鉄道と海、特に海水浴場というテーマを撮ろうと思うと、実のところ案外そういった場所は限られてくる。さらにそれに加えて非電化路線となると殊更場所が限られてくる。そこで目を付けたのが田井ノ浜駅だった。田井ノ浜駅の位置する場所は少し奥まって湾のようになっており、駅からあるいて15分ほどのところの岬の展望台へ行くと海水浴場と駅を見渡すことができる。思い描いていた夏の鉄道風景として理想形がそこにあった。

 そうと知ればもうあとは行くだけだ。だが、気付くのが些か遅く、田井ノ浜駅の営業期間は既に終わっていた。しかしながら、世間でいえばまだまだ夏休み、SNSなどで情報収集してみるとまだまだ海水浴客は多くはないが訪れているようだった。一か八か、晴れの日を狙って四国は徳島へ向かうことにした。 

 狙うは牟岐線の特急「むろと」だ。むろとで主に使用されるキハ185系は四国色と呼ばれる水色の帯をあしらったものでまさに夏にぴったりの被写体だ。お盆明けの8月19日、気温30度を超す猛暑の中、大粒の汗を流しながら岬の展望台へ上った。

 9時を過ぎたあたりから徐々に海水浴客が増え始め、大勢というわけではないが”夏”を演出することができ始めていた。2本ほど普通列車が行ったあとはついにお目当てだ。

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10時半過ぎ、浜辺に海水浴客が増えてきたところでキハ185系特急「むろと」が軽快に走ってきた。さんさんと降り注ぐ太陽のもと、青く透き通る海、白い砂浜、海水浴客、そして非電化路線を走るディーゼルカーと求めていた条件すべてがそろった。

汗を拭くのも忘れて茂みから列車が出てきたところで夢中でシャッターをきった。