ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.66 おしろい

 秋田県は、県下地域の約90%が特別豪雪地帯に指定されるほどの豪雪地帯である。これは日本海対馬暖流からもたらされる湿った空気によってもたらされる雪であり、水分を多く含んだいわゆるベタ雪である。

 北海道の鉄道車両がよく前面に雪を目いっぱいつけて走っていることがあるが、北海道の友人に言わせればこれはベタ雪だからだそうだ。もちろん、降る量や車両の速度にもよるが、一般にベタ雪のほうが引っ付きやすく、粉雪と呼ばれるようなものはあまり引っ付かない。そう、実は車両の前面に雪を目いっぱいにつけて・・・・という事象はいろいろな条件が適切に組み合わされなければ成立しないのだ。

 2014年3月、折しも私が東日本、北海道地域を遠征しており北上する中、寒波が到来していた。秋田に近づくにつれて雪は深くなり、冷え込みも厳しさを増していった。当時、485系新潟車が特急”いなほ”から撤退することが決まっており、遠征中可能ならば記録せねばと思っていた。秋田駅に立ち寄った際に、ちょうど”いなほ1号”で到着する運用を撮れることが分かり時折雪舞い散る秋田駅でスナップした。

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 顔一面とはいかなかったが、日本海側特有のベタ雪を顔にひっつけて少し”おしろい”をぬった485系上沼垂色がホームで発車を待っていたのを記録した。数か月後、上沼垂色は全車引退し、常磐線から活躍の場を移してきたE653系へと役目を引き継いだ。