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ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.64 血液の一息

「石油の一滴は、血の一滴値する。」

第一次世界大戦中の1917年、仏首相クレマンソーが米大統領ウィルソン宛に石油支援の要請をした際の電報の一文であり、第二次世界大戦中の日本でも戦時標語として用いられたほど有名なものである。この電報が打たれた第一次世界大戦から100年近くが経とうとしている現代でも、石油は重要なエネルギー資源であり続けている。ひとたび原油価格が変動すれば経済が影響を受け、さらには一般市民への日常生活へも影響を及ぼす。車や暖房、石油がなくてはならない現代、石油を消費地へ輸送することは、つまり身体の隅々に血液を行き渡らせることと等しく重要なことである。
 日本は産油国ではないため、海外から船で運んだ石油を沿岸部の製油所で精製し日本各地へ輸送しなければならない。だが、ご存知のように日本は、国土の約7割が山地であるような険しい地形である。特に、信州は木曽路日本アルプスの山間に位置する街々を結ぶ道は、数々の峠が点在する難所である。これを回避し物流量を増加させるために長大トンネルなどが整備されているが、石油など危険物を運ぶ車の通行は安全面の問題から通行が制限または規制されている。ここで、峠を迂回して輸送するとなると輸送量の減少は必至でありなおかつ経済的でない。このため、信州方面の石油は主に大量輸送に長ける鉄道貨物によって輸送されており、鉄道が信州への血管、大動脈となっているのだ。
 信州への大動脈の大元、心臓のひとつを担うのが日本屈指の港湾石油工業地帯のひとつ中京工業地帯に位置する四日市であり、ここから関西本線中央西線を経由し年中を通しほとんど休みなく石油が運ばれている

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 そんな血液の一滴が塩浜駅発の6286レである。6286レは塩浜駅を18時26分に発車後、四日市駅まで来るとここで21時14分まで一休みとなる。日の入りが早くなった秋、四日市駅を覗くと、夜の静寂の中、発車まで身体を休めるDD51重連牽引の6286レの姿があった