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ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.53 瀬戸内イエロー

JR西日本 近郊型

 機械は色々な材料を用いて作られるが、その中でも最も一般的なものといえば鉄鋼材料だろう。鉄鋼材料は安価でかつ強度のある材料で、そしてその強度やその他特性を含有成分や製鉄方法、後処理などによって変化させやすいため様々な機械に利用される。鉄道も例外ではなく、初期の木製車両などを除けば、かつての鉄道車両と言えばほとんどが鉄鋼材料で作られていた。しかし、鉄鋼材料は安価で強度があり性質を調整しやすい半面、一部の特殊鋼を除き錆びやすいという欠点がある。このため、鉄鋼材料を使用する機械は外装を塗装することによって材料表面を保護し錆びないようにする必要がある。機械が大きくなればもちろん塗る面積も増えるのは当然であり、塗料の劣化を考慮して定期的に塗りなおす必要があるため、塗装費用が嵩むことは無視できない。

 鉄道車両にとって塗装といえば車両や路線を特徴付ける大きな要素であるが、複雑な塗り分けや色の多い塗装は人件費および塗料費が嵩むため保守費用を高騰させる要因になる。近年ではステンレス鋼材やアルミ合金材などの製造・加工技術進歩によってステンレス鋼車両やアルミ合金車両が増えつつあるが、これはステンレス鋼やアルミ合金は鉄鋼材料にくらべて錆び難いためである。

 JR西日本では2010年から塗料費用の削減を目的としてそれまでの複数色を使った塗装をやめ、その路線の地域ごとに色を設定し、単色で塗ることを決めた。七尾線は赤、北陸地域は青、紀勢地域は青緑、京都地域は緑、中国地方は黄、気動車は朱として定められ、一部の車両を除いて検査入場に合わせて随時塗り替えが行われている。山陽本線広島地区で活躍する115系もこれに伴って黄色に塗り替えが進められている。塗り替えが発表されたあたりから、ファンには「末期色(まっきいろ)」などと揶揄されているが、「瀬戸内海に反射する陽光」をイメージしたとされる黄色の塗装は存外悪いものでもないのではないだろうか。

 

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 先日、115系を使用した快速ひろしまシティーライナーを撮影しに広島へ赴いた際、黄色の装いになった115系も撮影した。シティーライナーの前走りでやってきたのは115系L-04編成だった。いわゆる製造後40年間使用を目的とした体質改善40N改造車4両で構成される編成である。窓サッシの交換、車内設備の223系相当品へ更新(現在はシートモケットが225系モケットへ変更されている)、ベンチレーターの撤去、雨どいの埋め込みステンレス鋼板化、ドアエンジンの交換などなど多岐にわたる更新工事を受け、さらにはテールライトレンズのクリアレンズ化が行われ、そして今黄色の装いとなって活躍している。

 新鋭227系の増備によって瀬戸内イエローの国鉄車たちは徐々に活躍の場を狭めつつある。遠くない将来、彼らもまた記録の中の存在になるだろう。最後の日まで、黄色い栄光を輝かせ活躍してほしいものである。