ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.50 Give me chocolate!

 Give me chocolate!

言わずと知れた戦後日本を象徴するフレーズである。当時の飢えた子どもたちにとってそれまで日本でほとんど流通していなかったチョコレートの甘くほろ苦い甘美な味は新鮮で格別であったに違いない。
 同じ頃、国鉄の機関車や客車は「ぶどう色1号」という色で塗られていた。これに対して、進駐軍専用列車として接収された客車はミルクチョコレート色に塗装することとなり、「ぶどう色1号」よりも明るい赤みの強い茶色として「ぶどう色2号」が制定された。国鉄の客車は以後ぶどう色1号に変わってぶどう色2号で塗装されるようになり、一般には「チョコレート色」として浸透することになった。
 その後、10系客車や20系客車といった軽量客車や新系列客車が登場し、ぶどう色2号で塗られた客車たちは旧型客車と呼ばれるようになった。昭和39年からは一部旧型客車は陳腐化のため大規模改装が実施され、青15号で塗られるようになりチョコレート色の車両は減少していった。しかし、今でも客車といえばチョコレート色の旧型客車たちを連想する人々は多いのではないだろうか。
 現在では老朽化などのため走行可能なのは少数となった。JR東日本 高崎車両センターにはそんな希少となった旧型客車7両が在籍している。去る2016/8/8、この旧型客車のうち5両を使用して高崎車両センター所属のDD51プッシュプル牽引による信越本線高崎〜横川間の訓練が行われると聞いて友人たちとはるばる高崎まで赴いた。
 訓練は2往復行われる設定であり、朝の1往復を撮影した後、2往復目の往路を安中鉄橋で狙った。
 朝の往路も安中鉄橋で撮影したのだが、昼に来てみれば遮るものの少ない河原に隣接した撮影地とあって焼けるように暑い夏の日差しが降り注いでいた。止めどなく溢れでてくる汗をぬぐいながら設営。しばし車で涼を取り再び設営場所へ。

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今か今かと通過を待ち受ける。対岸のカーブの奥でキラっと何かが光った。高崎所属DD51の特徴であるお召し仕様の銀煙突だ。遅いというほどでもないが快足というほどでもない旧型客車そのものというような足取りでお召し仕様DD51-895に牽かれ同888号機にしんがりをまかせ7両編成の豪華(?)訓練列車が鉄橋を渡ってきた。DDの窓は全開、夏をしみじみと感じる中シャッターを切った。