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ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.43 雪中行軍

 2014年を最後に事実上廃止された寝台特急「あけぼの」は、奥羽本線経由で上野~青森を結んでいたわけだが、新潟や秋田、山形といった豪雪地 帯、日本海側を通過するため冬季はしばしば雪や強風で大遅延や運休することがあり、「雪に負ける」ことから不名誉にもファンからは「まけぼの」などと揶揄 されたりした。廃止直前の2014年1月には強風により下り列車が9時間遅延したため途中の秋田で運転打ち切りとなったことすらあった。惜別乗車で乗った はいいが、運転を打ち切られてしまった、という経験をしたファンは多いのではないだろうか。

 さて、時に2014年3月、石北臨貨を撮影す るため旭川へと北日本を北上していた私は、途中秋田は大館で一泊し、翌朝の「あけぼの」を狙うため奥羽本線切っての有名撮影地である白沢~陣場へ向かうこ とにした。大館といえば一昔前まで小坂精練の専用線が伸びており、ほかにも黒鉱が産出される鉱山などで栄えた街であるが、多くの鉱山が閉山され、かつての 活気を失ってしまっているように思えた。ここでは一夜の安宿を探すのも一苦労だった。そして翌朝、まだ夜明けきらぬ6時前、始発列車に飛び乗り陣場駅へと 向かった。数日前からの寒波で呼び寄せられた雪の中、陣場駅から歩くことおおよそ20分、撮影地へ到着。この日は前走りに団体臨時として、EF81+24 系の「ミッドナイト弘前」号が運転されていたこともあり、普段よりいささか人が多いとのことだった。「あけぼの」の通過は9時前ごろ。晴れればEF81の鼻筋がよくわかるいい光線なのだがどうやらお天道様はそれを許してはくれなさそうだった。前走りの「ミッドナイト弘前」が通過した後、「あけぼの」通過時刻が迫るにつれ天気は下り坂とな り、みるみるうちにホワイトアウト寸前まで雪が降り始めた。

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雪 でほとんどの音がかき消され、静寂に静まり返る中、トンネルの奥にEF81の特徴的な2灯のライトがキラっと光った。本来ならば電機の轟音と客車の軽い ジョイント音が聞こえるはずなのだろうが、雪で消音され雪煙濛々と滑るように上野からの列車はやってきた。10時08分、定刻より1時間20分ほど の遅延だ。青森まで残り僅かな旅路を足早に駆け抜けていった。

 乗り鉄からすれば、遅延すれば乗車時間が延び満喫でき、撮り鉄からすれば普 段撮れない撮影地で撮れるといった部分もあるだろうが、確実性、定時性、大量輸 送が利点である鉄道輸送においては致命的である。新幹線や高速バス、航空機といった手段がある中、利用者の減少からの老朽化を理由にした廃止も時代の流れ として致し方なかったのだろう。