ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.33 小さな巨人

北海道への玄関口である海峡線では、新幹線開業までED79が客車列車の牽引を担当していた。ED79ED75改造し、海峡線専用仕様にした形式である。改造車種にED75が選ばれた理由は、当時運用の再編によって余剰が生じており、比較的車齢の浅い車両がまとまってあったことと、屋上の特別高圧機器が機械室内に格納されているため塩害の被害を受けにくいことなどである。

青函トンネルは12‰、つまり1000mの間に12m上る勾配が連続するためED79ED75から制動圧力調整機構や交流回生ブレーキ、歯車比の変更、軸重の増加などの改造を行い、小さな巨人へと生まれ変わったのである。生まれ変わったED79EH500が導入されるまで貨物、旅客問わず海峡線の主として活躍してきた。

さて、北海道夜行といえば真っ先に思いつくのは寝台特急北斗星」である。先日述懐した函館山からの「はまなす」の撮影のあと、「北斗星」のED79牽引区間を撮りたいと考え、友人と江差線を代表する撮影地の一つである渡島当別釜谷のS字カーブへ向かった。

ED79 北斗星 釜谷~渡島当別



藪を漕いでびしょ濡れになりながらS字カーブへたどり着き、朝露で滑りやすい砂地の斜面に三脚を構えた。しばらくして同業の方が1人こられ、3人での撮影となった。徐々に朝日が海岸線を明るく染め上げ線路にも光が十分降り注ぐようになったころ、撮影地手前の踏切が鳴った。朝日を受け、燃え上がるようなまばゆい紅に染まったED79に率いられて七つの星のヘッドマークも誇らしげに「北斗星」は足早にS字を駆け抜けていった。