ぽっぽ屋備忘録

にわかな鉄道好きによる日々の撮影の備忘録

Report No.31 さよならの宴

2011年の287系の導入に合わせて山陰・福知山線系統の特急列車は大きく再編された。

それまでは行き先および経由線区の違いから北近畿文殊まいづる、きのさき、はしだて、たんばの7つの電車特急が存在した。2011年3月ダイヤ改正では、この7つがこうのとり、きのさき、まいづるはしだての4つに再編された。同時に、それまで主役を担ってきた福知山区の183系が完全に引退することになった。

福知山区の183系は、元をたどれば北陸系統の特急で活躍した485系であり、交流機器を撤去した200番代と交流機器使用停止措置とした800番代が存在した。800番代は元しらさぎ、スーパー雷鳥などで活躍した車両であり、福知山区では中間運転台を含む3+4両の編成にされ運用されていた。また200番代は6両固定編成として運用されていた。800番代は早々に287系に置き換えられ、末期は200番代車のみとなっていた。200番代車は交流機器こそ撤去されているものの”準国鉄特急色”と呼ばれる485系国鉄特急色の側面帯に細い赤線を追加した塗装になっていたため、遠目には485系そのものであった。

引退によせて、この残る200番代を使用して2013年3月30日、記念列車が運転されることになった。事前情報によればヘッドマークはJR化後長らく使われたものではなく、北近畿が運行開始した際に使用されていた初期の絵幕が使用されるとのことだった。これを逃しては一生撮る機会がないので、友人を誘って眠い目をこすりつつ始発列車で福知山線は石生~黒井のストレート、通称イソクロへ向かった。

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撮影地は、183系の最後の勇姿を一目見ようと所せましとギャラリーが集っていた。183系の後を担う381系や287系達を見送りつつ構図を合わせた。しかし、通過時刻は過ぎているのに待てど暮らせど記念列車が来ない。調べてみると福知山線内で輸送障害があったらしくいささか遅れているとのことだった。しばらくして全線で運転再開、かろうじて前面に光が残る中、485系ゆずりの三つ目を光らせて183系はやってきた。初めて見る「北近畿」本来のこうのとり北近畿地方の地図を図案化したヘッドマークを掲げる183系はどこか誇らしげだった。